はじめに
日本では、AIベースの農業ロボットが導入されています。これにより、効率的な農業生産が可能となり、農業業界に革新がもたらされています。
例えば農林水産省では、「スマート農業技術開発戦略」を策定し、農業用ロボットの開発・実用化を支援しています。全国農業協同組合連合会(JA全農)などの農業団体は、農業用ロボットの普及に向けて、農家への情報提供や、農業用ロボットの実証・導入の支援などを行っています。
これらの取り組みにより、近年、農業用ロボットの開発・実用化が進展しています。例えば、2023年には、トマト収穫ロボットや、スイカ収穫ロボットが実用化されました。また、農薬散布ロボットや、草刈りロボットも、農家への導入が進んでいます。
AIによる農業ロボットの活用
日本の農業では、AIに基づいた農業ロボットがさまざまなサービスで活用されています。以下に具体的なサービス名とその概要を示します。
農薬散布ロボット
農薬散布は、農業における労働力の大きな割合を占める作業の一つです。AIを用いた農薬散布ロボットは、センサーで作物の位置を検知しながら、均一に農薬を散布することができます。これにより、農薬の散布量を削減し、環境負荷を軽減する効果が期待されています。大きく分けてドローン型と車両型があります。どちらの型もカメラとレーザーセンサーを搭載し、作物の位置を検知しながら、作物の周囲だけに農薬を散布することができます。以下に、メーカーとロボット名をいくつかご紹介します。
- ドローン型
- オプティムの「ピンポイント農薬散布テクノロジー」
- 農研機構の「スマート農薬散布ロボット」
- 株式会社ファームの「ドローン農薬散布システム」
- 車両型
- クボタの「スマート農薬散布ロボット」
- ヤンマーの「農薬散布ロボット」
- 株式会社アイ・イートの「AGV農薬散布ロボット」
これらのロボットは、いずれもセンサーで作物の位置を検知しながら、均一に農薬を散布することができます。これにより、農薬の散布量を削減し、環境負荷を軽減する効果が期待されています。
具体的な特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- ピンポイント農薬散布テクノロジー
- ドローンにカメラとレーザーセンサーを搭載し、作物の位置を検知しながら、作物の周囲だけに農薬を散布する。
- スマート農薬散布ロボット
- 車両にカメラとレーザーセンサーを搭載し、作物の位置を検知しながら、作物の周囲だけに農薬を散布する。
- AGV農薬散布ロボット
- AGV(無人搬送車)に農薬散布装置を搭載し、作物の行列に沿って、均一に農薬を散布する。
収穫ロボット
収穫ロボットとは、農作物を自動で収穫するロボットです。従来の収穫作業は、人手による作業が中心であり、労働力不足や高齢化が課題となっていました。収穫ロボットの導入により、これらの課題を解決し、農業の効率化や省力化が期待されています。
収穫ロボットの特徴
収穫ロボットは、以下のような特徴があります。
- センサーで作物の位置や熟度を検知
- 収穫器具で作物を傷つけずに収穫
- 自律走行で作業を自動化
収穫ロボットの適用作物
収穫ロボットは、トマトやスイカ、イチゴなど、さまざまな作物に適用されています。以下に、代表的な収穫ロボットをいくつかご紹介します。
- トマト収穫ロボット
- AGF社の「トマト自動収穫ロボット」
- 株式会社アグリテックの「アグリロボット」
- スイカ収穫ロボット
- 中部大学の「スイカ収穫ロボット」
- イチゴ収穫ロボット
- 株式会社アグリテックの「アグリロボット いちご」
収穫ロボットの課題
収穫ロボットの導入には、以下のような課題があります。
- 作物の種類や品種によって、適用が難しい
- 高額な導入コストがかかる
- 作物の品質を損なう可能性がある
これらの課題を解決するために、作物や品種ごとの適応性を高める技術開発や、導入コストを抑える技術開発、作物の品質を損なわない技術開発などが進められています。
まとめ
作物の種類や品種によって適用が難しいということは、すべての作物や品種に適用できるわけではないということです。また、高額な導入コストがかかるという点は、導入のハードルを高める要因となります。これらの課題を解決するためには、作物の種類や品種ごとの適応性を高める技術開発や、導入コストを抑える技術開発などが進められています。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 作物の種類や品種ごとの特徴を学習するAI技術の開発
- 複数のセンサーを組み合わせて、より正確な情報を取得する技術の開発
- 部品の共通化や量産化によるコスト削減
これらの技術開発が進むことで、栽培管理ロボットの適用範囲が広がり、導入がより容易になると考えられます。