はじめに
Apple Intelligence非対応のiPhoneと対応iPadを持っている筆者が実践する、iPhoneの録音データを文字起こしする方法について紹介します。ちなみにですがiPhone 13ProとM1のiPad Proの合わせ技となります。どちらかがApple Intelligenceに対応していないとできないのでご了承ください。
2025年4月1日に日本語対応が始まったApple Intelligence。最新のiPhone 16シリーズやiPhone 15 Pro/Pro Maxでは利用できますが、iPhone 13 Proなど少し前のモデルでは対応していません。私はiPad ProでしかApple Intelligenceを使えない環境で、いろいろ触っていた結果、文字起こし&要約が一番便利ではないかと考えています。
そこでいろいろ調べた結果、M1以降のiPad Proを持っていれば、iPhoneで録音した音声データをiPadで文字起こしすることが可能なことがわかりました。今回は、この組み合わせを活用した実践的な流れを詳しく解説します。
必要な環境
- Apple Intelligence非対応のiPhone(筆者はiPhone 13 Proを使用)
- Apple Intelligence対応のiPad(筆者はM1以降のiPad Proです)
- iPadOS 18.4以降(必須)
- iPhone側はiOS 17.0以上を推奨(筆者は最新です)
- iCloudメモの同期設定がオンになっていること
iCloudの同期設定を確認する
両方のデバイスで以下の設定を確認しましょう:
- 「設定」アプリを開く
- 上部の[自分の名前]をタップ
- 「iCloud」を選択
- 「メモ」と「ボイスメモ」がオンになっていることを確認
この設定が両方のデバイスで有効になっていないと、録音データが同期されません。基本的に全部オンにしていれば特に気にしなくてもよいですが、同期されないとiPhone側で録音したデータがiPad側で出てこないため、補足です。
iPhoneでの録音方法
メモアプリを使った録音
- iPhoneでメモアプリを開きます
- 新規メモを作成し、画面下部の「+」ボタンをタップ
- 表示されるメニューから「オーディオを録音」を選択(iOS 17では「録音」と表示される場合もあります)
- 録音ボタンをタップして録音を開始
- 録音が終わったら「完了」をタップ
メモアプリでの録音は、会議や講義など、テキストメモと一緒に音声も残しておきたい場合に便利です。録音と一緒にメモを取ることで、後から内容を思い出しやすくなります。今までボイスメモアプリでだけ録音しておりましたが、メモアプリの録音もいい感じです。
録音のコツ: iPhone 13 Proは3つのマイクを搭載しているため、録音品質は比較的良好です。ただし、より良い録音結果を得るためには、iPhoneを話者に向けて置き、できるだけ近い位置(30〜50cm程度)に配置することをおすすめします。
ボイスメモアプリを使った録音
より高品質な録音が必要な場合は、iPhoneの「ボイスメモ」アプリを使うこともおすすめです。
- iPhoneで「ボイスメモ」アプリを開く
- 赤い録音ボタンをタップして録音開始
- 録音中は一時停止も可能
- 完了したら「完了」ボタンをタップ
- 録音に名前を付けて保存
ボイスメモアプリは録音に特化しているため、長時間の録音や音質が重要な場合に適しています。また、録音中のオーディオレベルが視覚的に表示されるため、適切な音量で録音できているか確認しやすいのも利点です。とはいえ、会議しながら録音中のオーディオレベルを見ることはあまりないので、メモアプリの録音でよいかと思います。
iPadでの文字起こし手順
メモアプリの録音を文字起こしする
- M1 iPad Proでメモアプリを開く
- iCloudの同期により、iPhoneで作成した録音付きメモが表示される(同期には数秒〜数分かかる場合があります)
- 該当のメモを開く
- 録音ファイルの部分をタップ
- 「文字起こし」オプションを選択
- Apple Intelligenceが処理を開始し、文字起こしが完了するまで待つ
めちゃくちゃ簡単ですよね。私はGalaxyも持っているのですが、Galaxy AIでも録音から文字起こし、要約までスマホ単体でできるので重宝していますが、メインのiPhoneで録音して文字起こし&要約ができるのです。ちなみにですが・・処理にかかる時間についても調べてみました。
処理時間の目安(ざっくり):
- 5分の録音:約30秒〜1分
- 30分の録音:約2〜3分
- 1時間の録音:約4〜6分
ボイスメモの録音を文字起こしする
iPhoneのボイスメモアプリで録音したファイルをiPadで文字起こしする場合は、少し手順が異なります。
- iPad版「ボイスメモ」アプリを開く(iCloudが有効ならiPhoneの録音が同期されています)
- 文字起こししたい録音ファイルを選択
- 録音を開いた状態で、画面下部の「…」(その他)ボタンをタップ
- 表示されるメニューから「文字起こし」を選択
- 文字起こし処理が完了すると、録音と一緒にテキストが表示される
ボイスメモアプリでの文字起こしは、録音の管理と文字起こしを一元化できるメリットがあります。特に複数の録音を整理して管理したい場合に便利です。ただ、要約までするには下記にも書いている通り、一度メモアプリにコピペする必要があります。
文字起こし後のテキスト編集: 文字起こしされたテキストは通常のテキストと同様に編集可能です。誤認識された単語や専門用語は、タップして修正できます。また、ボイスメモアプリでは、テキストの特定部分をタップすると、その部分の音声が再生されるため、聞き取りにくい部分の確認が容易です。
文字起こしテキストの要約機能
Apple Intelligenceの真価は、単なる文字起こしだけでなく、AIによる要約機能にもあります。長い会議や講義の内容を短時間で把握したい場合に非常に役立ちます。これが超便利です。文字起こししただけのテキストデータでは要点やタスクがわかりづらいです。要約するだけで、一目瞭然に整理してくれます。
メモアプリでの要約手順
- 文字起こしが完了したテキストを選択(全文または一部を選択可能)
- 選択したテキストの上に表示されるメニューから「作文ツール」をタップ
- 「要約」または「要点」オプションを選択
- 数秒後にAIが生成した要約が表示される
これだけです。めちゃくちゃ簡単ですよね。私は普通に要約しかしたことがないのですが、カスタム要約のテクニックとして、プロンプト機能を使うとより細かく指示ができるようです。
カスタム要約のテクニック: より詳細な要約や特定の観点からの要約が必要な場合は、作文ツールの「プロンプト」機能を使って具体的な指示を与えることができます。例えば「技術的な側面に焦点を当てて要約して」「アクションアイテムのみを抽出して」などの指示が可能です。
ボイスメモの文字起こしを要約する方法
ボイスメモアプリ内では直接要約機能が利用できないため、以下の手順で対応します。
- ボイスメモアプリで文字起こしされたテキストを選択してコピー
- iPadのメモアプリを開き、新規メモを作成してテキストを貼り付け
- 貼り付けたテキストを選択して「作文ツール」を起動
- 「要約」または「要点」オプションを選択
この方法では、一度テキストをコピー&ペーストする手間がかかりますが、ボイスメモアプリで管理している録音も同様に要約機能を活用できます。個人的には一手間かかってしまうので、メモアプリの録音⇒同期してiPadで文字起こし&要約が便利だと感じています。要約がすぐすぐ必要なシーンはプライベートでは少ないこともあります。
最後に、Apple Intelligenceの強みとも言えますプライバシーについても調べてみました。
プライバシーとデータセキュリティ
Apple Intelligenceは、ユーザーのプライバシーを最優先に設計されています。
- オンデバイス処理: 文字起こしの多くの処理はiPad上で行われ、データがAppleのサーバーに送信されることはありません
- Private Cloud Compute: 高度な処理が必要な場合は、Appleの安全なサーバーで処理されますが、Appleはユーザーデータにアクセスせず、保存もしません
- 録音データの保護: iCloudで同期される録音データはエンドツーエンドで暗号化されます
- 同意の重要性: 録音を行う際は必ず全参加者の同意を得ること。これは法的要件であるだけでなく、信頼関係を維持するためにも重要です
おわりに
いかがでしたでしょうか。Apple Intelligence非対応のiPhone 13 Proと対応するM1 iPad Proの組み合わせでも、効率的な音声の文字起こしと要約が可能です。iCloudを介した同期機能を活用することで、録音と文字起こしの作業を分離し、それぞれのデバイスの作業を組み合わせることで実現できます。
特に、移動中や外出先ではiPhoneで手軽に録音し、後からiPadの大画面でじっくり編集・要約するという使い方は、大きな時間節約になると思います。最近、プライベートでも話し合うことがあるのですが、その際にも活躍しています。よって、最新のiPhoneに買い替えなくても、M1以降のiPadを持っていれば、Apple Intelligenceの強力な文字起こし・要約機能を活用できるのは大きなメリットです。M1対応のiPad Proを買っていてよかったです・・・。